Treasure 2

Writer : 風宮 香 (Kazemiya Kaori) 光輪愛風




A Proof of Loyalty ・・・ 至誠の証

「ただいま、当麻」

礼儀正しく、きちんと帰宅を告げるのは、学生時代から変わらずだ。
一日の仕事を終えて疲れているにもかかわらず、見目が麗しいのも変わらずで…。

贅沢にも、それが日常の風景。
非日常で出会ったせいか、その有難味を感じる事が出来る。

贅沢だと思うのは、相手がこの世に生らぬ程の美人さんという事もあるけれど。
世間からは非常識といわれる同性同士。
だから、より一層に、この時間と空間が大切で仕方がない。

「おぅ、おかえり~」

言葉を返しながらも、征士の声・気配・表情、全てを確認して。
今日の様子を伺い、推し量る。
それは、ご機嫌とりじゃなくて。
過去も未来も一緒に過ごす相手とは、もちろん、今も心地よく過ごしたいから。

疲れてない?嫌な事なかった?

自分からは愚痴や弱音を言わない恋人だから、言外から察知するしかなくて。

もし、何かあったなら。
一番に知りたいし、話したい。
相談も乗るし、慰めたりもできる。
ストレス発散にも付き合うから。

言ってしまえば。
ただ単に、盲目的に、骨の髄から―――愛してる。


スーツの上着を脱いでいる征士を手招きして。

「なんだ?」

天才的な容量を誇る脳味噌は、過去のデータから「今日は大丈夫」と解析を終えたけど。
最後のチェックは、視認ではなくて、触診で。

「お疲れさん」

ネクタイを引き寄せて、目元にキスをする。


最初の頃は、機嫌やらタイミングやらを間違えて。
顔面への手のひら攻撃で押しのけられたり、酷ければマジ肘打ちをされたりしたけど。
今は、もう、大丈夫。


照れたように微笑む征士。

「なんか、楽しそうだな」

そりゃ、お前の機嫌がいいから。
共鳴してるんだよ。

「うん、楽しいよ」

しゅるりっとネクタイを引き抜いて、ボタンに手をかける。

「自分でできる・・・」

「手伝うよ。…なんでも、一緒にやろうぜ」

そんで、もっと楽しいこともしようか?

「それをすると、着替えるだけでは済まなくなるだろう」

正解!
なんで、こんなに以心伝心なんだろう?

「問題ないだろう?」

と言えば。

是とも否ともつかない、曖昧な笑みが返されたから。
そのまま、続行することにした。






********************





「当麻……やはり…」

征士には、問題があったらしい。

ソファに引きづり込んで、下着まで取った状況で。
もちろん、スラックスは皺にならないように、ローテーブルに置く気づかいまで見せたのに。

この期に及んで、「腹が減った」と言った。


「先に、俺が食べるから」

何をって、もちろん征士を。
強く言うと、流石にそれ以上は言わなったけど。

空気読んでないにも、程がある!
んで、「飯よりもお前が欲しい」と言わせたいのは、俺の勝手ですかね?




いつもは、のめり込むように夢中になるけど。
こんな時はちょっと、冷静に。

どことどこを責めれば、効率よく最高級に啼かせる事ができるかなんて。
よく理解している。

弱くて敏感な個所を、唇で優しく愛撫しながら。
息が上がってきている征士を、更に追い詰めるように。
奥に指を這わせて、熱くて、薄い粘膜をかき混ぜる。

「…あぁ………あぁ……」

よく識っている快感を思い出させる行為。
いつもと違うのは、特に悦ぶ個所を責めないでいること。

「とぅ……ま……」

やや非難めいた呼ばれ方だけど。
気にしない。ワザとだから。

指を増やして解しながらも、まだソコには触れてないでいて。
期待して、内がイヤらしく蠢いて。雄弁に語り始める。

口には出さないけど。
もう、限界でしょ。
慣れた身体は、きっと俺を欲してる。

だから、身体を起こして座ってやった。

欲しければ、自分からおいでよ。
食事よりも、美味しく俺を呑み込んでよ。

征士を起こすように、腕を引きながら。
胸の突起を舐めあげて。煽るように。

「自分でできる?」

やや上目遣いで、反応を伺うと。

「…手伝え…なんでも…一緒にやるのだろう?」

目論見は、看破されているようで。
征士に手を取られて、己を掴まされる。
もう片手は、腰へと導かれ。

淫欲を孕んだ鋭いまでの紫の視線に、ゾクリとする。
そんな瞳で見られたら、イッちゃいそう(笑)

ねだられる様な濃厚な口づけを送られて。

限界ぎりぎりなのに、精一杯強がっているのがわかるから。
ここで、負けちゃうのは、惚れた弱みだろうなぁ。
んでもって、我慢できないほどに、なってきてます。

「そうだな。一緒にするの、スキ」

時折、ふるるっっと身体を震わせて、耐えるように身動ぎする中腰の征士。
その奥に、己を埋めるために。腰を掴まされている手に力を入れて、座るように促す。

「ああああ……」

首を仰け反らせながら、深くつながって、満たされている事を教えてくれる声。

「気持ちイイ?」

聞くと、微かに頷く素振りを見せる。
それがなんとも嬉しくて。
むちゃくちゃに突き上げる。
後は、夢中で熱い征士をただひたすらに感じて。

「俺も、気持ちイイよ、せーじ」

嬌声をあげる白い喉仏をぺろりとなめてから。
鎖骨に口づけを紅く残す。まるで、ネックレスかネクタイのように。

ネクタイが会社への忠誠であるのなら。
この痕は、俺からの至誠の証。

消えてしまったら、何回でも、描き直すから。
消えてしまっても、ずっと、変わらないから。

それほどに。

「アイシテル」

互いに荒くなる呼吸の合間に。
何万回言ったかわからない言葉を囁きながら。

果てるのがもったいないくらいの時間を、引き延ばすかのように楽しんだ。




END

2012-01





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このお話、以前に捧げさせて頂いた拙イラ → から連想して創って下さったとのこと…!
…うおおぉぉぉぉ…!うそおぉぉぉぉ!?マジッすか…
ううう嬉し過ぎて管理人、目から鼻水が出そうです…(キタナイ…)
そうか、あのちゅーの後は…このお話に続く展開になるのね…ウッヒョイ…!
ああ、もう、そうとしか見れなくなってきた。…出たよ風宮マジック…!
風宮さん、本当にどうもありがとうございましたー!^^!メチャクチャうれしいです!!!