Treasure 1

Writer : 陵 桜華 (Misasagi Ouka) Endorphin Junkie




蜻蛉玉

「蜻蛉玉」

「穴の空いたガラス玉のことであろう?模様の付いたガラス玉がトンボの複眼のようだと」

蜻蛉玉を知っているかと不意に尋ねられたので、把握している知識で返答したが、青いタレ目が考えている事など征士には皆目検討がつかない。
当のタレ目はというと、その角度を一掃広げてにんまりと得体の知れぬ笑みを浮かべている。
どうせよからぬ事に違いはないので放っておけばよいのだが、世は情けというか何というか、どうにも気になってしまうのは惚れた弱みというやつなのかと征士は自嘲する。

「なんかさ、会社の同僚が旅行に行って、その土産だってくれたんだけど」

堪える気がない笑いが締まりのない口から垂れているのを見て、垂れているのが目だけでない場合は、よからぬ妄想を脹らませていることは経験で理解している事なのに、話に乗ってしまう征士は短く溜息をつく。
土産とやらはずいぶんと小さい物らしく、先程から握っていた右手を当麻はぱっと開いて見せた。



見せられた物に征士はたじろぐ。

ここは、笑う場面なのか。

それとも、二人の関係が見知らぬ同僚とやらに見抜かれていることに焦るべきなのか。
青空色の筒状のガラス玉に緑色のアマガエルがぺったりとくっついている。

くっついている?

落ちないように剥がれないように両手両足でしがみついているのだ。
しかも顔は弱冠仰け反った様子で。
嗚呼。言うな。その先は言うな。
当麻。言わなくていい。

「これ、俺とお前だろ?」

だから、口にするなと。
ここまでにしておけ。頼むから。

「もうさあ、イキそうな寸前で仰け反ってるお前そのものだろ?」

判った。もう判った。当麻。
今日の日付は10月10日だ。
純度100%の黄色人種・国籍日本でありながら金髪碧眼という突拍子もない容姿を持ち合わせている征士だが、度の過ぎたイタズラと言うべきか、突拍子もない驚きを人に与えるのも嫌いではない征士だ。

「今年のプレゼントは、トンボ玉の実体化でよいな?ありがたく受け取れ」

征士が着用していたシャツはさらりと音を立てて身体から剥離して床に落ちる。脱皮した身体はタレ目の胴体に馬乗り、この場合はカエル乗りになった。

「せっかくの誕生日プレゼントだ。日常とは趣向を変えようではないか」

フローリングに押し倒された当麻はジーンズが剥ぎ取られ下肢が外気に晒されたのを感じたが、その感覚は僅かな間合いで、すぐさま秋の空気は感じなくなった。
熱気に満ちたカエルが覆い被さっている。
期待と興奮で汗ばむシャツがもどかしい当麻の両腕がカエルを捕まえた。





END

2012-01





+++

うおおおおおおおおおおお!滾る漲る!……ぶぅっ(鼻血)
…全くもってけしからんもっとやれ!!
…征士さんが跨る…!…また…またがる…股……ビッチ征士萌ェェェェ…!
……当麻さん、いいなぁぁぁ……!(心の底から)

当征企画サイト「SkyDreamer2011ぷち」さまに、上記写真を「青緑写真」として投稿し、
後に、コレを擬人化した拙イラを投稿させていただきました。 →
その際に「小説読みたい」と叫んだら、陵様がさらりとSSを付けて下さったのです…!
投稿日時を見て、余りの仕事の速さに見つけた時は我が目を疑った…
なんたるテキスト職人・マイスター…!
拙サイトでの掲載許可も快くOKくださって!なんと御心の広い…ウッヒョーイ!!もんどり打っちゃう位激しく小躍り!
メダカでタイを釣りあげた様な気分です!
陵さま、どうもありがとうございましたー!^^