きみに、贈る。
腕時計の発条(ゼンマイ)を巻く仕草、
そっと日付を直す時の 指の動きとか。
伏せ目になったときの長い睫毛、
ふと顔を上げたときの 無防備な表情とか。
白い頬とか、
形のいい唇とか、
淡く薄い紫の綺麗な瞳とか。
隣に並んだ時に見せる 少し上目遣いになる その目線。
名前を呼ばれた時に見せる たずねるような視線とか、
そのときに見せる 首をかしげて 目で訊いてくる その仕草。
伸ばされた 白い腕の先にある手のひら。
その先にある 器用そうな白い指、
その指先を形づくる綺麗な爪。
そのすべてをオレの手で包み、そのままキスを贈る。
力が抜けていて抵抗も無く、されるがままにオレに預けてくれる。
「…なんだ?…どうした、めずらしいな」
何の遊びだ、と少し笑いを含み 問いかけてくる 心地のよい声。
――― もう、その、すべてが。
+
…人を好きになる と言う気持ちは お前に教えてもらった。
あったかいんだな。
思うだけであたたかくなれる。
せつなさも教えてもらった。
痛いような 苦しいような 悲しいような、
その後にくる 溢れるほどに満ちた幸福感と 言い表せない喜びも。
そうして 「心」 のありかがどこなのか を 知ったんだ。
面白いよな、
「心」 なんて臓器は どこにも無いんだぜ?
それなのに みんな 同じように 同じ所を指して 「心」 だと言うんだ。
無いけれど あるんだ。
皆 持っているんだよ。
目に見えない、存在しない、証明できない不確かなもの。
obscure 曖昧としてはっきりしない、そんなのナンセンスだと思ってた。
けれど、あるんだ。
オレの中にもあったんだ。
「目に見えない世界は信じないと言う人がいるけれど、
目に見えないのに、全世界の人が信じているものが たったひとつだけある。」
それは、「心」
…昔はバカらしいと思っていたものが、
いまでは いちばん大切なものになっている。
何が大事って、お前がいてくれること それが全て。
何気ない日常にある幸せ、それを見つけ出す事が出来る自分。
きみがいてくれる 今、
きみの生まれてきてくれた日に、
きみに贈る。
共にいるあいだ きみに贈る。
神に誓うより きみに誓う。
いつまでもキスを贈る。
きみの隣で。
XXXXX
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内容が全然誕生日のお祝いでは無いですが。
…当麻さんは、絶対絶対絶対にこういう事は口に出して言わないと思う…
(ウチの当麻さんは ちょっとアレな御方なので、平気でこういう事を思ったり、へロッと口にしたりしてしまうのですが…
管理人がコレだからな…当麻さん、大被害を被っているよなァ…)
口に出した想いの丈が そのまま寸分違わず 全て相手に伝わればいいのにね。
口にしたって、半分も伝わらない。
もどかしいよね。
これからも刻んで欲しい 泣けるくらい人を好きになれたことを。
これからもずーっとそばに居て、ずーっと仲良しさんでいてほしい。
征士さんお誕生日おめでとう v
2012-06-09